ゴットリープ・ヴァリッシュ

永遠の音楽の都、ウィーンが誇る正統派
卓越したパフォーマンス、若くして頂点を極めた才能は折紙付き

 


ヴァリッシュの最近の活動で特筆すべきものとして、現代ピアノでの演奏に加えて、近年は初期ピアノでの歴史的解釈の分野を集中的に研究しており、クリストファー・ホグウッドとカメラータ・ザルツブルク、マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミー管弦楽団などとのコラボレーションが挙げられる。

2020年には、ベートーヴェン時代の楽器で演奏された〈ベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集〉の3枚組CDが発売された。

1978年、ウィーンの音楽一家に生まれ、わずか6歳よりウィーン国立音楽大学に学び、ハインツ・メジモレックに師事、優秀な成績で同大学を卒業する。7歳でコンサートに出演し、12歳でウィーン楽友協会「黄金のホール」にデビューした。ハインツ・メジモレック、パスカル・ドゥヴァイヨン、オレグ・マイセンベルクなどの名師が音楽の道を開いてくれたとヴァリッシュは言う。アメリカのストラヴィンスキー・アウォードにて第1位とイーヴォ・ポゴレリッチ大賞、1999年のエリザベート王妃国際コンクール、2005年クララ・ハスキル・ピアノ・コンクールにてファイナリストなど、多くの受賞を重ねている。

ユーディ・メニューインが指揮したコンサートで、17歳のヴァリッシュはポーランドのシンフォニア・ヴァルソヴィアと共演。ベートーヴェンの「皇帝」協奏曲を演奏して国際的なキャリアをスタートさせた。

以来、ヴァリッシュは世界の名だたるコンサートホールや音楽祭に招かれている。ニューヨークのカーネギーホール、ロンドンのウィグモアをはじめ、ボンのベートーヴェンフェスト、ルツェルンとザルツブルクのフェスティバルなど、世界の一流のコンサートホールやフェスティバルに登場。

ソリストとして共演した指揮者には、ジュゼッペ・シノーポリ、サー・ネヴィル・マリナー、デニス・ラッセル・デイヴィス、キリル・ペトレンコなど。共演したオーケストラには、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、ウィーン交響楽団、マーラーユースオーケストラ、シュトゥットガルト室内管弦楽団などが挙げられる。

リンレコード、ドイツグラモフォンなどのトップレーベルでのレコーディングを行い、2012年には「スタインウェイ・アーティスト」に登録された。

2016年10月、ベルリン芸術大学(UdK Berlin)のピアノ担当教授に就任。

それ以前は2010年から2016年まではジュネーブ音楽大学(HEM Genève-Neuchâtel)のピアノ教授を務め、また、2013年にはブダペストのフランツ・リスト音楽院の客員教授を務めている。さらに、イリノイ大学、名古屋音楽大学、サンクトペテルブルク音楽院、モーツァルテウム・ザルツブルク国際夏季アカデミーなどでマスタークラスを行っている。

 

過去の演奏批評

冒頭の一音から惹き込まれた…きわめて明瞭、透明で澄みきった音色、最高に正確でかつ感情に溢れた音楽。
(オーストリアの日刊紙・ダイプレッセ Die Presse)

非常に強健で俊敏、そして確固たる意志を持った指の持ち主であることは明らかだ。
(BBCミュージックマガジン誌)

ヴァリッシュのシューベルトからは、彼がこの作曲家に対して真の理解を覚えていることを証明している。軽やかできらめくタッチ、歌うようなメロディー、流れるようなシューベルト独特の音楽を誠実になぞってゆく…決して誇張されすぎない、センスが溢れるシューベルト。
(アメリカのファンファーレ誌)

ヴァリッシュは、音楽を伝えるためにピアニストが望みうる、あらゆる技術的な課題をすべてクリアしている。力強いタッチ、しなやかなで柔軟で俊敏、これ以上ないほどの正確さをもって奏でた。
(フレデリック・L・カーシュニットによる2002年カーネギーホール公演の評)

ケルン室内管弦楽団との共演で、ヴァリッシュはモーツァルトの類い稀なる演奏家であることを証明してみせた。ピアノ協奏曲K537で物語を語るようなモーツァルトの音楽を引き出しただけでなく、輝かしさと変化に富んだニュアンスも抜群。アンコールのシューベルトの即興曲ヘ短調では、その素晴らしさスタンディングオベーションが続いた。
(ドイツのノイエルール/ノイエラインツァイトゥング紙 Neue Ruhr/Rhein Zeitung)

ヴァリッシュは、この上なく優美なモーツァルトのコンチェルト第25番を奏でた。リラックスして落ち着いた物腰で音楽を作り上げる。温かい丸みのある音色、変化に富んだタッチも伴い、繊細かつ力強い演奏は比類ない。この曲の音楽を正確に把握し、彼独自の味付けもなされている。
(オランダのアイントフォーフェン・ダークブラッド紙 Eindhovens Dagblad)

洗練された音色の美しさ、優れた表現能力と揺るぎないテクニック。
(スペインのエルムンド紙 El Mundo)

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